既存サイトの一部修正を業者に頼むときの費用と注意点
この記事はこんな方におすすめ
- 既存サイトの一部だけを直したい(デザイン崩れ・表示速度・フォーム不具合など)
- 小規模な修正の費用感や依頼範囲の決め方がわからず、相見積もりの比較基準を知りたい
- 更新を止めずに安全に直すためのステージングやロールバックなど運用面の注意点を押さえたい
WordPressレベル別 読みどころガイド
赤:外注依存度「高」 オレンジ:外注依存度「中」 緑:外注依存度「低」
右のレベル表(スマホは画面下)を参考に、記事内の「赤・オレンジ・緑」のパートを読み分けてください。
※「外注依存度」とは、作業や確認を自分でどこまで対応するか、もしくは外注に任せるかの度合いを示しています。
既存サイトの一部修正に関する基本
既存サイトの部分改修は、「不具合の再現性」「影響範囲」「再発防止」の3点が費用を左右します。
同じ「ボタンを直す」でも、テーマやプラグインの相性・子テーマの有無・計測タグやキャッシュ設定で工数は激変します。まずは現状把握と依頼範囲の切り分けから始めましょう。
既存サイトの一部修正 ~WordPressレベルごとの確認ポイント
原因追跡はプロに任せるのが早い
赤レベルの方は、「原因の特定」までを自分で頑張らない方向で進めましょう。症状のスクショ/再現手順/いつからを伝えれば、業者側が切り分けと仮説立てを進められます。むしろ誤った自己修正は、表示崩れや致命的エラー(White Screen of Death)の誘発につながるので非推奨です。
外注では、事象の再現→影響範囲の調査→修正案の提示→ステージング検証→本番反映という流れが一般的です。
確認ポイント
- 「何が、どのページで、どの端末・ブラウザで起きるか」を1~2行で説明(例:iPhone Safariでお問い合わせ送信が失敗する)
- 発生タイミング(テーマ更新・プラグイン追加・サーバー移転など)に心当たりがあればメモ
- ログイン情報やサーバー情報は安全に共有(パスワードの一時変更と作業後の再変更)
- 緊急度(サイト停止・売上影響など)を明示して優先度を伝える
費用の目安
- 軽微な表示調整・CSS微修正:5,000~15,000円(最短1~2タスク)
- フォーム不具合/JS競合/キャッシュ絡み:15,000~40,000円
- テーマ/プラグイン更新に伴う互換対応:30,000~80,000円
- 緊急対応(夜間/当日):割増見積もりが一般的(目安1.2~1.5倍)
準備しておきたいもの
- 症状のスクリーンショット/動画、再現手順(クリック順・入力値)
- 本番の直前バックアップ(ホスティングの自動バックアップ有無)
- 管理画面・サーバーの一時的なゲスト権限(使い回しの共有アカウントは避ける)
原因候補を並べて依頼。調査と修正の見積を切り分ける
オレンジレベルの方は、「調査費」と「修正費」を分けて見積もりしてもらいましょう。テーマやプラグインの更新履歴、直近の設定変更、コンソールエラーなど、原因候補を箇条書きにして渡すと、工数のブレが小さくなります。
改善後は必ず再発防止策(固定化・バージョン固定・運用ルール)まで合意しておくと安心です。
確認ポイント
- 環境メモ:WP/PHPバージョン、使用テーマ(子テーマの有無)、主要プラグインとバージョン
- 直近の変更差分:更新日時、導入/削除プラグイン、カスタムコードの追加履歴
- 影響範囲:対象テンプレート、共通パーツ、ウィジェット、固定ページのみ等
- 検証観点:モバイル/PC、主要ブラウザ、ログイン有無、キャッシュクリア後の挙動
- 納品物:変更点リスト、差分ファイル、ロールバック手順、簡易運用マニュアル
費用の目安
- 事象調査(1~3h想定):10,000~30,000円(レポート提出)
- 軽中度の修正(テンプレ/JS/CSS/フック調整):20,000~80,000円
- 根本対策(構成見直し/プラグイン置き換え):50,000~150,000円
- ステージング構築+本番反映セット:10,000~40,000円
準備しておきたいもの
- Git/バックアップ/復元手順(WP-CLIでも可)と、反映フロー(誰が/いつ/どこで)
- 計測タグ(GA4/広告/ヒートマップ)とデバッグ用の検証窓口(本番テスト時の注意)
- サイトポリシー:プラグイン追加基準、更新タイミング、脆弱性対応のルール
パフォーマンス/再現性を評価指標に
緑レベルの方は、差分PR(Git)と受け入れ基準で発注します。具体的なテンプレ/フック/CSSの影響範囲を提示し、計測値(INP/LCP/CLS)や再現手順を合意したうえで、Before/Afterの検証結果を成果物に含めると品質を担保しやすいです。
定常運用を見据えて、プラグインの置き換えやベンダーロックの解消も検討対象に。
確認ポイント
- 受入条件:再現性、テストケース、端末/ブラウザ表、アクセシビリティ/SEO観点
- パフォーマンス基準:INP/LCP/CLSの改善幅、キャッシュ/画像最適化/遅延読み込みの方針
- セキュリティ:権限設計、監査ログ、脆弱性アラートの対応SLA
- ドキュメント:変更点、設計意図、ロールバック/フォールバック戦略、運用手順
費用の目安
- 改修仕様が固いピンポイント修正:20,000~60,000円
- 計測改善(Core Web Vitals中心):80,000~250,000円
- プラグイン置換/軽量化(要件次第):100,000~300,000円
- デプロイ整備(CI/CD・自動バックアップ):50,000~180,000円
準備しておきたいもの
- リポジトリ/ブランチ戦略、PRテンプレ、コード規約(PHPCS/ESLintなど)
- 監視/通知(エラーログ、Uptime、速度モニタ)とアラートルール
- 本番/検証の切替(メンテナンスモード、キャッシュパージ、バージョン固定)
制作代行の依頼フロー(一般的な流れ)
- 症状と影響度を共有(スクショ・再現手順・いつから・端末/ブラウザ・緊急度)
- 前提情報を提示(環境/更新履歴/アクセス権限/バックアップ状況)
- 見積・提案の受領(調査費と修正費の切り分け、除外範囲、納期、検証範囲)
- ステージングで実装→検証→本番反映(差分記録/ロールバック/計測確認)
- 納品・引き継ぎ(変更点リスト/運用ルール/再発防止策/保守開始時期)
※ 小さな修正でも、差分の可視化・計測の確認・復元手順の3点セットは必須です。
既存サイト修正に関するよくある質問
「1箇所だけ直したい」のに高く見積もられるのはなぜ?
原因特定や影響範囲の調査に時間がかかるためです。表面上は1箇所でも、テーマ/プラグイン/キャッシュ/計測タグが絡み合うと調査コストが発生します。調査と修正を分けて見積もると納得感が出やすいです。
営業中の本番サイトを止めずに修正できますか?
多くの場合、ステージング環境で検証→すき間時間で本番反映が可能です。バックアップとロールバック手順を事前に合意しましょう。
プラグインの更新で直りますか?
直るケースもありますが、別の不具合や速度低下を招く可能性もあります。相性や設定が原因なら、更新だけでは解決しません。子テーマ/フック調整や置き換えが必要な場合もあります。
相見積もりはどう比較すればいい?
「調査の粒度」「除外範囲」「検証範囲」「成果物(変更点リスト/再発防止策)」が揃っているかで比較しましょう。金額だけでなく、再発防止まで踏み込んでいる提案が結果的に安く済むことが多いです。
既存サイトの一部修正は、小さく見えても背景の複雑さで工数が大きく変わります。ポイントは、症状の共有精度・影響範囲の把握・再発防止までの設計です。
赤は症状を明確に伝えて丸投げ方針、オレンジは調査/修正の切り分けでコスト最適化、緑は差分と受け入れ基準で品質担保が基本の見方です。
「どこまでが調査で、どこからが修正か」を先に線引きすると、相見積もりの比較がスムーズになります。
また、あまりに安すぎる見積もりは、調査不足や後追い請求、対応放棄のリスクも発生します。適正な工程と成果物が揃う提案を選びましょう。

