フルスクラッチ型(高額・曖昧な項目があるケース)
デザイン・システムを完全オリジナルで作る「フルスクラッチ」の見積もりです。金額が高いこと自体は、内容次第ではおかしくありません。今回のケースでは、中身の読み取れない項目と、根拠の説明がない増額が紛れ込んでいました。
お見積書

お見積り内容
| 項目 | 数量 | 単価(円) | 金額(円) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 企画・ディレクション費 | 1式 | 220,000 | 220,000 | ヒアリング、競合調査、進行管理 |
| サイト構成・ワイヤーフレーム作成 | 1式 | 80,000 | 80,000 | サイトマップ作成、各画面のレイアウト設計 |
| トップページ デザイン・コーディング | 1式 | 120,000 | 120,000 | PC/スマホ対応(レスポンシブ) |
| 下層ページ デザイン・コーディング | 4P | 40,000 | 160,000 | 会社概要、事業内容、採用情報など |
| WordPress本体インストール・初期設定 | 1式 | 30,000 | 30,000 | DB設定、基本プラグイン導入、セキュリティ設定 |
| WordPressオリジナルテーマ構築 | 1式 | 150,000 | 150,000 | デザインをWP化。投稿機能実装 |
| WordPressシステム保守費(初期) | 1式 | 90,000 | 90,000 | システムの安定稼働のため |
| お問い合わせフォーム機能実装 | 1式 | 30,000 | 30,000 | 自動返信メール、スパム対策含む |
| 原稿作成・写真撮影サポート | 1式 | 50,000 | 50,000 | コピーライティング支援 |
| サーバー・ドメイン取得・設定代行 | 1式 | 30,000 | 30,000 | 取得代行、SSL化設定 |
| 操作マニュアル作成・レクチャー | 1式 | 20,000 | 20,000 | 更新手順書、オンラインレクチャー |
| 小計 | 980,000 | |||
| 消費税(10%) | 98,000 | |||
| 合計 | 1,078,000 | |||
金額感
フルスクラッチ(オリジナルデザイン+オリジナルテーマ)での制作費は、一般的な制作会社であれば70万〜90万円程度が相場のレンジです。今回の合計107.8万円は、その上限をさらに10〜20万円ほど超えています。内容自体は一式そろっているので「あり得ない金額」ではありませんが、相場の中では高め寄りです。
特に気になるのは「企画・ディレクション費」が22万円という点。同種の見積もりでは15万円前後が目安で、今回のように7万円上振れしているケースでは、その根拠(ヒアリング回数が多い、競合調査の対象が多い等)が説明されているか確認する必要があります。
作業範囲の過不足
トップページ・下層4ページ・WordPress化・フォーム・原稿サポート・サーバー設定・操作レクチャーと、コーポレートサイトのフルスクラッチとして必要な項目はひと通りそろっており、抜けている作業自体は見当たりません。
ただし1点、「テスト・公開移行作業」が独立項目として立っていない点が気になります。本番サーバーへの切り替え作業や表示崩れの最終チェックが、どの項目の中に含まれているのか(あるいは含まれていないのか)が見積書からは読み取れません。ここは契約前に「公開作業は誰がどこまでやるのか」を確認しておくべきです。
曖昧・要注意項目
最も注意したいのが「WordPressシステム保守費(初期)」9万円です。備考が「システムの安定稼働のため」とだけで、具体的に何をするのかが一切分かりません。この手の名目だけの項目は、後から「何にいくら使ったか」を説明しにくい典型パターンです。
しかも「初期」と付いているので、この後月額で別途保守費が発生するのか、これで完結するのかも不明瞭です。契約前に作業内容の明細を書面で出してもらうと後々のトラブルを防げます。
交渉できそうなポイント
前述の通り、まず「WordPressシステム保守費(初期)」9万円は、内容が明確にならない限り一旦保留・削除交渉の対象にして良い項目です。中身がはっきりすれば残しても構いませんが、曖昧なまま払う必要はありません。
次に「企画・ディレクション費」22万円は、標準的な15〜18万円のレンジまで下げられないか、あるいはその差額分で何が上乗せされているのかを確認してみるとよいでしょう。この2点だけで、実質10万円前後の圧縮余地があると見ています。
総合コメント
見積もりの構成自体はフルスクラッチとして妥当で、粗悪な内容ではありません。ただし「システム保守費」という中身の見えない項目と、根拠の説明がないディレクション費の上振れによって、相場の上限をさらに超える金額になっています。
このまま契約すると、実際の作業内容に対して10〜15万円ほど多く払っている可能性があります。まずは「システム保守費の内訳」と「ディレクション費が22万円になっている理由」の2点を先方に確認し、それに納得できる回答が得られない場合は再見積もりを依頼することをおすすめします。
