商用利用できる無料テーマと有料テーマの選び方

この記事はこんな人向けです
  • 事業サイト・EC・LPなど商用利用を想定し、無料テーマと有料テーマ、どちらか迷っている
  • テーマ選定の比較軸(速度、SEO、デザイン自由度、サポート、将来性)を実務目線で知りたい
  • 外注も視野に入れつつ、まずは自分で失敗しない判断フローを持っておきたい

WordPressレベル別 対応難易度

Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7
レベル判断は、右のレベル表(スマホは画面下)を参考にしてください。

赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可

商用テーマ選びの全体像と対応方針

商用利用では「見た目」よりも、保守性・速度・更新継続・サポートの4点が成果に直結します。
まずは要件(コーポレート・メディア・EC・LP)をはっきりさせ、無料/有料のどちらでも満たせるかを比較軸でチェックします。
迷ったら将来の運用コストを優先し、アップデートとドキュメントが整った選択肢を取るのが安全です。

テーマの選び方 ~WordPressレベルごとのおすすめ対応

テーマは条件から逆算しよう

正直、テーマ選びは項目が多く、初心者ほど「デモの見た目」で決めて後悔することが多いです。ここでは機能と目的から逆算します。

例)
会社サイト:固定ページ中心/問い合わせ導線が命/採用ページの読みやすさ/速度。
メディア:カテゴリ設計/関連記事/目次や回遊性/スキーマ/広告枠。
EC:WooCommerce互換/決済UI/カート速度/商品検索・フィルタ。

次に、商用利用の条件を確認します。WordPressテーマは基本的にGPLですが、画像や同梱フォント、アイコンの商用可否はテーマや配布元ごとに異なります。
無料テーマを使う場合は、配布元の信頼性・最終更新日・サポート有無をチェックしてください。
また、更新が1年以上止まっているものは避けるのが無難です。

有料テーマを検討するなら、日本語ドキュメント・FAQ・購入者フォーラム・返金規約の整備度合いがポイント。
カスタマイズに自信が無いなら、ブロックエディタ(Gutenberg)で直感的にレイアウトできるものや、テンプレートパターン・セクションブロックが豊富な製品が安心です。

最後に「体験版やデモ」で、速度(軽さ)・ナビゲーションのわかりやすさ・スマホ表示を確認します。
迷うなら無理せず外注することをおすすめします。設計から伴走してもらうと失敗が減ります。

無料/有料の“総所有コスト”を試算

日常的にWordPressを触るオレンジレベルの方は、テーマ選定を「一時の購入費」ではなく総所有コスト(TCO)で比較しましょう。以下の観点を確認していきます。

  1. 更新継続性:コア/プラグイン更新に追随しているか。最終更新日・チェンジログ・満足度。
  2. 速度とパフォーマンス:不要JS/CSSの少なさ、遅延読込、画像最適化連携、CLS対策。
  3. ブロックエディタ適合:FSE(サイトエディタ)やテーマJSON対応、独自ブロックの過多/依存度。
  4. アクセシビリティ:見出し構造、コントラスト、フォーカス、キーボード操作。
  5. SEOの土台:パンくず、構造化データ、OGP、アーカイブ最適化、カテゴリー設計。
  6. 多言語/ECの互換:WooCommerce、翻訳プラグイン、RTL、日付・通貨表記。
  7. ドキュメント/サポート:日本語ヘルプ、チュートリアル、質問窓口、回答速度。
  8. ライセンスと商用可否:GPL準拠、添付アセットの利用条件(フォント/アイコン/写真)。

無料テーマ+必要プラグインで補う構成は初期費ゼロでも、運用での不具合調査やカスタムCSSが積み上がることがあります。
一方、有料テーマは初期費用が発生しますが、プリセット・テンプレ・チュートリアル・迅速な回答で総時間を削れるケースが多いです。

カスタマイズは子テーマで行うのが基本です。将来の更新で改変が消えないようにする意識を持てば、無料/有料どちらを選んでも「長く使えるテーマ」になります。

設計・拡張性・ベンダーロックを見切る

緑レベルの方なら、要件→設計→選定の順に。まず情報設計(テンプレート階層、投稿タイプ、タクソノミー、メタ情報、検索UX)を固め、テーマJSON・ブロックパターン・フックでカバーできるかを評価します。
独自ビルダー依存が強い製品は、撤退コスト(乗り換え難易度)を必ず試算。将来のFSE進化や性能要件に耐えられるか、ベンダーロックの度合いを見ます。

パフォーマンスは実測。デモをローカル/検証環境に入れてLCP/CLS/INPを把握し、不要アセットの読み込み制御がしやすいかを確認。
ECや会員・検索強化が前提なら、WooCommerce/会員系/検索プラグインとの互換実績や、テンプレートの上書き容易性も評価軸に。

運用視点では、翻訳ファイル(.po/.mo)の管理、マルチサイト対応、ロール/権限の整備しやすさ、リリースノート/サポートSLA風の運用情報が出ているかも効きます。
結論として、業務要件を満たし、更新継続が確認できるなら無料でも十分。逆に、要件×スピードが重要なら有料テーマで初期から稼働率を上げるのが合理的です。

テーマ選定を外注する場合のポイント

「要件整理→候補比較→導入→初期調整」までまとめて依頼すると、公開後の手戻りが減ります。費用・流れ・準備物は次の通りです。

項目ポイント
費用の目安 ・テーマ選定コンサルのみ:5,000~20,000円
・導入+初期設定(速度/SEO初期調整含む):30,000~100,000円
・EC/会員/多言語など要件込み:100,000円~(要見積)
・緊急/短納期は割増の可能性
依頼の流れ 1. 現状サイト/要件の共有(目的、必須機能、参考サイト)
2. 候補テーマの比較表と見積の受領
3. ステージングで導入→確認→本番反映(バックアップ必須)
準備しておくと便利 ・目的(CV/KPI)、必須ページと導線のメモ
・ブランドトンマナ(ロゴ/色/フォント可否)
・必要プラグインリスト(フォーム/SEO/キャッシュ等)
・既存不具合や速度の課題、希望納期
まとめ

無料/有料の正解は「目的と運用体制」で変わります。無料でも更新が活発で要件に合うなら十分戦えますし、有料は初期からガイド・テンプレ・サポートが揃い、立ち上がりのミスを減らします。

比較は更新継続・速度・ブロック適合・アクセシビリティ・SEO土台・互換性・サポートの7軸で考えましょう。将来の改修や人の入れ替わりに耐えるかを基準にすると失敗が減ります。

迷ったら、デモの利用や、ステージング(テスト環境)で実際の動作を確認をしてみましょう。判断材料が足りなければ、候補と外注見積もりを並べて比較検討しましょう。

目的に合ったテーマは、制作スピードも成果も底上げしてくれます。最短距離で進めたいときはプロに相談するのも立派な選択です。

この記事を書いた人
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桐山智行(株式会社H.T.P. 代表)

2007年よりWeb制作に従事し、現在は企業サイトやWordPressの保守・改善支援も行っています。これまで100社以上・500サイトを超える案件を担当し、トラブル対応から集客サポートまで幅広く経験しています。

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