オリジナルテーマの修正を外注する場合の注意点

この記事はこんな人向けです
  • 自社制作のオリジナルテーマが古く、デザインや機能を直したいが内製の手が足りない
  • 制作者が不在/連絡不能で、第三者に改修を外注する必要がある
  • 子テーマ・ステージング・Gitなど、進め方の正解がわからないので基準が欲しい

WordPressレベル別 対応難易度

Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7
レベル判断は、右のレベル表(スマホは画面下)を参考にしてください。

赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可

自作テーマ編集を外注する全体像と対応方針

オリジナルテーマは自由度が高いぶん、制作ルールや履歴の不在が後の改修コストを上げる要因になります。
外注前に「子テーマ化」「ステージング/バックアップ」「要件と検収基準」を先に固めると、品質・スピード・費用の三拍子がうまく整います。
レベル別に、どこまで自力でやって、どこから任せるのが良いのか境界線を見極めましょう。

オリジナルテーマ修正 ~WordPressレベルごとのおすすめ対応

要件を固めて、作業はまるっと外注が安全

赤レベルの方は、テーマ構造やテンプレート階層、PHP/JSの改変に踏み込むと事故率が上がります。まずは作業せず、現状把握と要件整理に集中するようにしましょう。
その具体的な項目が下記になります。

サイトの目的とKPI(問い合わせ、購入、資料DL 等)
困っている事象(崩れ、速度、エラー、UI/UX、SEOの下振れ)
欲しいアウトプット(例:トップの画像差し替え、記事一覧のカード化、Core Web Vitalsの改善)
既存環境(サーバー種別、PHP/WordPressバージョン、キャッシュ/セキュリティ系プラグイン)

作業自体は外注に任せ、事故防止の土台をわかる範囲で押さえておくことでコスパが良くなります。

1) フルバックアップ(ファイル/DB、復元テストは業者側で実施)
2) テスト環境の用意(サブドメインorサブディレクトリ/パスワード保護)
3) 子テーマ化を最初に行う(親テーマ直編集の痕跡がある場合は、その修正内容をリストアップして把握)
4) 検収条件(ブラウザ/端末、表示/機能要件、計測指標、デグレ確認範囲、リリース手順)
5) 著作権/ライセンスの線引き(画像/フォント/アイコン、外部ライブラリの利用条件)

「細かい設計やGit運用は難しい…」という場合でも、上の5点をわかる範囲で外注に伝えられれば大丈夫です。仕様→見積→ステージングで確認→本番反映→検収の流れに乗せるのが最短です。

要件定義は自力、実装は外注のハイブリッド

管理画面やテーマ編集に慣れているオレンジレベルの方なら、要件定義/受入れテスト/軽微な調整は自力で、本実装は外注という分業がスムーズです。
やるべきことは次の通りです。

現行テーマの棚卸し:テンプレート階層(front-page.php / home.php / archive.php / single.php)、共通パーツ(header/footer/sidebar)、独自関数(functions.php)を洗い出し
非機能要件:表示速度(LCP/CLS/INP)、アクセシビリティ、PHP8.x対応、ブロックエディタ/Gutenbergの互換性
SEO観点:見出し構造、スキーマ(構造化データ)、内部リンク、パンくず、カテゴリ/タグの出し分け
影響範囲:カスタム投稿タイプ/タクソノミー、ACFやオプションページ、検索/絞り込みUI、ウィジェットやショートコード。
テストケース:代表ページ×主要デバイス(iPhone/Android/主要ブラウザ)で表示/操作/計測を定義。

実装は外注に任せつつ、完成物を評価するときのチェックポイントは把握しておくと品質が安定します。

例)
1) 子テーマに改修を集約(親テーマへは原則ノータッチ)
2) オーバーライド方針(テンプレートの差し替え/部分テンプレ化/get_template_partの設計)
3) CSS/JSの読み込みはwp_enqueue_*で最適化(依存関係、defer/async、バンドルの是非)
4) 設定で解決できるもの(カスタマイザー、テーマオプション、ACF)を優先し、直書きは最小限
5) 計測(PageSpeed Insights、Search Console、エラーログ)でビフォー/アフターを比較

ここまで整えると、改修の再現性が上がり、担当者が変わっても迷子になりません
細かなUI微調整やテキスト差し替えは自力で回しつつ、コア改修は外注することでバランスが取れます。

設計から運用まで主導、外注は増員リソース

設計・実装・レビューを自走できる緑レベルの方は、外注を実装リソースとしてアサイン。リファクタリング/設計刷新まで視野に入れ、将来の運用負債を減らします。

テーマ分割:レイアウト/コンポーネントをパターン化し、get_template_part・ブロック(Block API/テーマJSON)で再利用可能に
テスト:ビジュアルリグレッション(例:参考環境)、ユニットテスト(PHP/Lint)、E2E(Playwright等)を導入
CI/CD:Gitフロー、ステージング自動デプロイ、DB差分の取り扱いポリシー(WP Migrate等)
セキュリティ/権限:最小権限、SFTP/SSH鍵、Basic認証、Web Application Firewall、監査ログ方針
ドキュメント:README(環境/依存/ビルド)、運用ハンドブック、コード規約(PSR/WordPress Coding Standards)

このレベルでも、本番リリース/監視は二重化が安心。ロールバック手順・保守契約・SLA/連絡経路を明文化して、緊急対応の初動を短縮します。

自作テーマ編集を外注する場合のポイント

「設計は自社、実装はパートナー」という考え方が王道です。費用感・流れ・準備物を押さえておくと、見積と進行がブレません。

項目ポイント
費用の目安 ・軽微改修(CSS/テンプレ修正/出力調整):10,000~40,000円
・機能追加(ACF/オプション/検索UI/パーツ新設):50,000~150,000円
・構造見直し(設計/リファクタ/速度改善/ブロック対応):150,000円~
・緊急/夜間/即日対応は割増になることがあります
依頼の流れ 1. 現状整理(URL、課題、希望ゴール、参考サイト)
2. 調査/見積(影響範囲・方針・費用・納期の提示)
3. ステージング実装→確認→修正→本番反映
4. 検収(テスト観点のチェック、デグレ確認、バックアップ保管)
準備しておくと便利 ・サーバー/WordPressのログイン情報(権限は最小限)
・バックアップ可否と希望リリース時間帯(深夜/早朝など)
・デザイン/要件のソース(Figma/画像/ワイヤー/文章)
・既存カスタムのメモ(functions.phpの独自関数、使っているプラグイン、ACF構成)
・検収条件(対象ページ、対応ブラウザ/端末、速度やSEO指標、バグ報告期限)
まとめ

オリジナルテーマの改修は、「壊さない仕組み」づくりが最重要です。子テーマ化・ステージング・バックアップ・検収基準の4点セットで、外注でも安心して進められます。

は作業を触らず要件整理に専念、オレンジは設計/受入れを主導、は設計刷新と運用体制まで含めて最適化、これが基本方針です。

費用は改修規模で上下しますが、影響範囲の見立て検収のゴール設定で無用な往復は激減します。迷ったら一度相談して、最短ルートをパートナーと一緒に組み立てていきましょう。

この記事を書いた人
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桐山智行(株式会社H.T.P. 代表)

2007年よりWeb制作に従事し、現在は企業サイトやWordPressの保守・改善支援も行っています。これまで100社以上・500サイトを超える案件を担当し、トラブル対応から集客サポートまで幅広く経験しています。

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