管理画面をカスタマイズして業務効率を上げる方法

この記事はこんな人向けです
  • 投稿・固定ページの入力ミスや抜け漏れをテンプレ化やUI改善で防ぎたい人
  • 非エンジニアでも回せる運用設計を整え、チームでの作業をスムーズにしたい人
  • 将来の委託運用や保守にも耐える、無理のないカスタマイズ基盤を作りたい人

WordPressレベル別 対応難易度

Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7
レベル判断は、右のレベル表(スマホは画面下)を参考にしてください。

赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可

管理画面カスタマイズの全体像と対応方針

管理画面カスタマイズの目的は“触りやすくして成果を出すこと”です。それに向けて「誰が・いつ・どこで・何を間違えるか」を先に洗い出し、必要最小限のUI調整から始めます。
複雑な要望は要件分解して段階導入していきましょう。迷ったら運用影響が小さいものから試して、管理コストを増やさない方針が安全です。
長期的には「効率アップ」と「保守しやすさ」の両立を意識するのがコツです。

管理画面カスタマイズ ~WordPressレベルごとのおすすめ対応

運用課題の見える化を

赤レベルのうちは、いきなりPHPやJSで触らないほうが良いです。やるべきは「運用で困っている点」を言語化することです。
例えば、投稿時に毎回つまずく項目、承認フローで滞る箇所、誰がどこで迷うか…などを実際の画面キャプチャにメモして並べます。

そのうえで、テーマやプラグインの既存機能で代替できないかを確認します。カスタムフィールドや専用ブロック、固定ブロックパターンの活用、カテゴリー/タグの事前設計など、ノーコードで効く対策は意外と多いです。もし管理画面に不要項目が多いなら、“役割分担(権限設計)”の見直しだけで運用が軽くなることもあります。

外注を視野に入れる場合は、「現在の入力フロー」「想定の完成画面」「誰がいつ使うか」の3点を簡単なドキュメントにして用意しておくことで、実装のムダ打ちを減らせます。
赤レベルの方は要件整理が仕事の8割だと思ってOKです。

小さく試して、戻せる設計で

多少コードに触れるオレンジレベルの方なら、“戻せる前提”の小さな改善から行っていきましょう。
例としては、投稿一覧のカラム追加・並び替え、クイック編集の項目拡張、ダッシュボードウィジェットの最適化、メニューの並び直し/非表示、投稿タイプの分離、入力チェックの導入、よく使うブロックのパターン化などです。

ポイントは、「運用ミスを予防」する改修を優先することです。入力必須項目の見落としを減らす、公開前チェック項目を目で追えるようにする、担当ごとに不要なメニューを隠す、といったUI面の工夫は、学習コストに対するリターンが大きいです。逆に「凝った自動処理」や「多段の条件分岐」は保守コストが急増しがちなので、フェーズを分けて導入しましょう。

自力で進める際は、子テーマやスニペット管理のルール化が必須になります。命名規則・責務の分離・コメント方針・撤去/切替の手順を軽くでも決めておくと、将来の外注・引き継ぎが楽になります。テスト環境での確認→本番反映という二段階運用も、ここで固定化しておきたいところです。

最後に、“やめる設計”もセットで考えておきます。メニューやカラムをガッツリいじりすぎると、テーマ更新やプラグイン更新と衝突することがあります。「この改修はいつでもOFFに戻せる」という前提で切替スイッチやフィルターの余地を残しておくと、トラブル時の復旧が早いです。

要件分解→拡張ポイント設計→保守前提の実装

緑レベルの方は、要件分解→拡張ポイント設計→実装→回帰テスト→ドキュメント化の順で淡々と。フィルターフック/アクションフック/REST API/カスタムポストタイプ・タクソノミー・メタ・ユーザーロール/Block Editor拡張など、WordPressの拡張点を“将来の更新に耐える形”で組み合わせます。

“業務効率”に効く具体例としては、入力フォームの整流化(必須/型チェック・条件表示・説明テキスト)一覧UXの強化(必要カラムの設計、フィルタ/ソート、バルク処理の導線)公開前チェックリストのワークフロー化(下書き→レビュー→公開の権限分離)メディア運用ルールのUI化(ファイル名・代替テキストの運用支援)など。これらはSEOやアクセシビリティ、セキュリティ品質にも波及します。

実装後は、失敗時の切り戻し手順(フラグOFF/ロールバック)と、更新衝突のテスト観点をReadmeに明記。依存関係・想定バージョン・無効化手順・既知の制約・運用ドキュメントへのリンクまでセットにしておくと、委託や体制変更にも強いです。パフォーマンスや権限穴の回帰テストも定例化しておきましょう。

管理画面カスタマイズを外注する場合のポイント

「自分で触るより、運用の型を一気に作りたい」「将来の引き継ぎも考えて最短で整備したい」――そんなときは外注が最短ルート。費用感・流れ・事前準備を押さえて、“伝える情報の質”でスピードを上げましょう。

項目ポイント
費用の目安 ・軽微なUI調整(一覧カラム/メニュー整理など):20,000~50,000円
・入力フロー設計+実装(カスタム項目・チェック・承認導線):80,000~200,000円
・Block拡張や複合ワークフロー/複数権限対応:200,000円~(要件次第)
・緊急対応や短納期は割増になることがあります
依頼の流れ 1. 現状の課題共有(画面キャプチャ+困っている点の箇条書き)
2. 要件の優先度付け(“今すぐ効くもの”から)
3. 見積・スケジュール合意(テスト環境の用意も確認)
4. 試作→レビュー→本番反映→回帰テスト
5. ドキュメント/運用ルールの受け渡し
準備しておくと便利 ・「入力~公開」までの理想フロー図(誰が、いつ、何を)
・必須項目の定義、公開前チェック項目の一覧
・権限ごとの見せたいメニュー/隠したいメニューの希望
・将来想定(委託運用・担当交代・サイト拡張)のメモ
まとめ

管理画面のカスタマイズは、“運用で困る現場”の代弁から始まります。目的を言語化→小さく試す→戻せる設計で拡張、の順で進めれば、ムダなく安全に効かせられます。

は要件整理に集中、オレンジは小粒改善を反映、は保守前提で拡張が基本となります。
将来の外注・引き継ぎにも耐えるよう、記録と“やめ方”をセットで考えておくことも大事です。

小さな改善の積み重ねが、大きな時短と安心につながります。今日の工夫が、明日の負担を大きく減らし、長く安心して使えるWordPress環境につながります。

この記事を書いた人
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桐山智行(株式会社H.T.P. 代表)

2007年よりWeb制作に従事し、現在は企業サイトやWordPressの保守・改善支援も行っています。これまで100社以上・500サイトを超える案件を担当し、トラブル対応から集客サポートまで幅広く経験しています。

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