WordPressテーマカスタマイズを外注する際のチェックポイント
- テーマの見た目や動線を変えたいが、自力でやるか外注するか迷っている
- 「子テーマ?テンプレート階層?FSE?」など、用語と手順の整理から始めたい
- テーマ変更外注時の費用の目安・依頼の流れ・事前準備を把握して失敗を避けたい
WordPressレベル別 対応難易度
赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可
WordPressテーマカスタマイズの全体像と対応方針
テーマ改修は、要件の切り分けと実装範囲の見極めが9割です。
「デザインだけ」「機能追加」「表示速度やSEOの改善」このあたりのどれを優先するかで、やるべき作業・工数・費用が大きく変わります。
レベルに応じて無理なく進め、必要に応じて外注に切り替えるのが賢い進め方です。
テーマカスタマイズ ~WordPressレベルごとのおすすめ対応
「要望の言語化」と「環境の共有」を重視
赤レベルの方は、子テーマの作成やテンプレートの上書き、PHPやJSの編集は手を出さないほうが安全です。誤操作で表示崩れや致命的エラー(画面が真っ白になるエラー等)を招くリスクが高く、復旧コストも膨らみがち。
まずは以下を用意して、外注に備えるのがおすすめです。
・「どのページの、どの要素を、どう変えたいか」をスクショを交えてメモ
・目的(CVR改善/導線最適化/ブランド統一など)と優先度(Must/Should)を整理
・参考サイトや「これに近いUI/アニメーション」のURL収集の準備
・現状使用テーマ名/バージョン/主要プラグイン一覧/PHP・WordPressバージョン
この準備だけで見積りの精度が上がり、余計な往復や手戻りを防げます。編集は触らず、要件定義に集中しましょう。
「範囲限定の自力+要所外注」(費用対効果重視)
投稿編集やブロックエディタを日常的に使っている、ある程度のコードを理解しているオレンジレベルなら、スタイル微調整やパターン登録などの軽作業は自力でも問題ありません。
ただし、テンプレート階層に関わる修正や、ループ・カスタムフィールド・アーカイブの構造変更などは難易度が上昇します。
おすすめは、「要件の70%程度は自力で詰める → 残りの核(構造や速度最適化)は外注」のハイブリッド運用になります。
・色、余白、フォントサイズなどの軽微な見た目調整は自分で実装
・子テーマ化、テンプレートの分割設計、パフォーマンス改善(LCP/CLS/JS分割)は外注で確実に
成果を最大化するコツは、「何をKPIにするか」を先に決めること。
例:
・「CVボタンのクリック率 +20%」
・「ファーストビューのLCP 3.0s→1.8s」
・「モバイルCLS 0.25→0.10」
KPIが決まれば、工数の優先順位がはっきりし、ムダな装飾や後回しでいい要件をそぎ落とせます。
「設計と保守性」を軸に
緑レベルなら、テンプレート階層・フック・Blockテーマ(FSE)・ACFやCustom Postの設計まで踏み込んで自力実装も可能です。
パフォーマンス最適化(不要CSS除去/クリティカルCSS/遅延読み込み)や、SSR/静的化の検討も視野に入ります。
ただし、保守性と他者が読めるコードは常に意識が必要です。
・子テーマでの上書きルールをREADME化
・コンポーネント化/パターン化で重複排除
・Core Web Vitalsモニタリング(PageSpeed Insights / CrUX)
・機能はプラグイン化し、テーマから分離(テーマは表示、機能はプラグイン)
外注を併用するなら、ヘビーなJSリファクタやデザインシステム設計、アクセシビリティ改善などの専門領域を任せると時短・品質向上に効きます。
レビュー観点(命名・責務分離・パフォーマンス予算)を共有して、コードレビュー前提で進めるとスムーズです。
外注する場合のポイント
ここでは、費用の目安、依頼の流れ、準備しておくと便利なものをまとめます。テーマカスタマイズの外注は「安かろう悪かろう」になりやすいので、要件精度 × 実装品質 × 保守性のバランスで判断しましょう。
項目 | ポイント |
---|---|
費用の目安 |
・見た目の軽微修正(余白・色・フォント):1~3万円 ・テンプレート改修(一覧・詳細・固定ページの構造変更):3~10万円 ・カスタム投稿/ACF連携/検索・絞り込みUI追加:8~25万円 ・速度最適化(LCP/CLS/JS分割・画像最適化):5~20万円 ・デザイン刷新+実装(小~中規模):20~80万円 ※要件の粒度・ページ数・レビュー回数・納期圧縮で前後します。 |
依頼の流れ |
1. 目的とKPIの定義(例:CVR+20%/LCP1.8s以下) 2. 要件と優先度を整理(Must/Should/後回し) 3. 現状共有(テーマ名・環境情報・主要プラグイン・再現手順) 4. 見積り・スケジュール・コミュニケーション方法の合意 5. デザイン/ワイヤーの擦り合わせ(参考サイト・NG例も) 6. 開発環境・本番環境・バックアップ方針の確認 7. 実装 → ステージング確認 → 修正 → 本番反映 → 受領 |
準備しておくと便利 |
・サイト目的・ターゲット・主導線の説明(CTA位置/フォーム) ・対象ページ一覧と改修範囲(URL・スクショ・注記) ・参考デザイン/競合サイト/禁止事項のサンプル ・テーマ/プラグイン/PHP/WPのバージョン表 ・(速度改善の場合)PageSpeed計測値(モバイル/PCのLCP・CLS・TBTの現状) ・掲載する文言・画像・アイコン類(権利クリア済み) ・連絡先と承認フロー(誰がいつ判断するか) |
チェックリスト:外注前に最低限確認したいこと
- 子テーマ運用で本番テーマを汚さない設計になっているか
- 機能は可能な限りプラグイン化し、テーマ更新の影響を受けにくいか
- テンプレート階層に沿った改修か(無理な直書きや上書きはないか)
- FSE(ブロックテーマ)/クラシックのどちらかを前提にした方針か
- パフォーマンス予算(画像・JS・CSS)が共有されているか
- アクセシビリティ(コントラスト/代替テキスト/フォーカス)の配慮があるか
- コード規約/命名/README/引き継ぎドキュメントが残るか
- ステージング環境/バックアップ/ロールバック手順が用意されるか
- 納品後の軽微改修や不具合対応の保証範囲が明記されているか
テーマカスタマイズは、見た目を整えるだけでなく、導線設計・速度・SEO・アクセシビリティまで含めて成果に直結します。レベルに応じて無理のない範囲を見極め、KPIから逆算して優先順位を決めるのがコツです。
赤は外注で安全に、オレンジは範囲限定で自力+要所外注、緑は設計と保守性を最優先。迷ったら、要件整理と見積りだけでも相談してみると、全体像がクリアになります。
「まずは話して整理したい」という段階でもOKです。要件の粒度が上がるほど、コストの無駄と手戻りを確実に減らせます。