複数人で運用するときの権限設定とトラブル防止策
- WordPressを複数人運用しており、役割や権限の決め方に迷っている
- 外注先・代理店・アルバイト等にもアカウントを渡していて、セキュリティが不安
- 誤更新・下書き上書き・プラグイン更新ミスなどのトラブルを未然に防ぎたい
WordPressレベル別 対応難易度
赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可
複数人で運用するときの全体像と対応方針
複数メンバーでWordPressを運用するコツは、「最小権限」「可視化」「一時的付与」の3点です。
まずは役割に応じたユーザー権限ロール(管理者/編集者/投稿者など)を正しく割り当て、作業ログや通知で変更点を可視化し、共有先には期限付きのアカウントを使うのが基本方針です。
この考え方をベースに、レベル別に安全な設定と運用ルールを整えていきましょう。
複数人運用 ~WordPressレベルごとのおすすめ対応
誤操作を防ぐ「最小権限」と定型ルール
赤レベルの方の段階では、難しいプラグイン設定よりも「誰が何をできるか」を明確にすることが最大の事故防止になります。
具体的には、管理者は最小人数(通常は1~2名)に留め、通常の編集メンバーは編集者(Editor)/投稿者(Author)/寄稿者(Contributor)で運用します。購読者(Subscriber)は閲覧専用や会員サイトで使用します。
- 記事執筆のみの人は「寄稿者」:下書き作成はできるが公開はできない
- 自分の記事を公開する人は「投稿者」:自分の投稿のみ公開・編集可
- 全体の編集を任せられる人は「編集者」:他人の投稿や固定ページも編集可
- サイト全体の設定を触る人だけ「管理者」:テーマ/プラグイン/ユーザー管理まで可
また、外注先や短期メンバーには共用アカウントを使わず、個別アカウント+期限付きで付与します。
そして、退職・契約終了時に即時に権限を停止できる体制を用意しておくと安心です。
- 公開前は必ず下書き→レビュー→公開の順にする(承認フロー)
- 二要素認証(2FA)の導入をする(プラグインで可)
- 自動更新の範囲を最小化し、更新は定例メンテ日にまとめる
- バックアップの自動取得(毎日/週次)を必須にする
このレベルでは、「設定をいじるのは管理者のみ」と徹底するのが安全です。困ったら早めに専門業者へ相談して、事故る前にガードレールを敷いておきましょう。
監査・承認フロー・権限カスタムで事故率を下げる
ある程度WordPressに慣れているオレンジレベルの方は、「誰が、いつ、何を変更したか」を追えるようにしておくと安心です。
監査ログ系プラグインやメール通知、スラック連携などで公開・更新・権限変更のアラートを飛ばすと、ヒューマンエラーの早期発見につながります。
- 承認ワークフロー:寄稿→レビュー→公開の流れをプラグインで明確化
- リビジョン管理:差分を確認しやすくし、誤更新はすぐロールバック
- メディア運用ルール:ファイル命名規則・代替テキストの付与を徹底
- カテゴリー/タグの権限:構造を決めた人だけが増減できるようにする
- 外注の最小権限:記事制作は投稿者、SEO編集は編集者…と役割別に
ロールをさらに細かくしたい場合は、権限管理プラグインで能力(capability)単位に調整します(例:プラグインの更新だけ不可、ユーザー追加は不可 など)。
ただし設定ミスで逆に広い権限を与えないよう、検証環境で試してから本番へが鉄則です。
- 更新ウィンドウ:毎週○曜午前だけ更新可など時間/手順を定める
- プラグイン運用:導入前のレビュー、責任者の承認、不要プラグインの整理
- テーマ編集の禁止:管理画面からのテーマ/プラグイン直接編集は原則オフ
ここまで整えると、誤更新・上書き・設定改変といった代表的な事故は大幅に減らせます。
迷ったときは「公開権限は誰に必要か?」「その変更は誰がレビューすべきか?」の2点で判断しましょう。
組織運用はステージング+Git+最小権限のSOP化
緑レベルの方は、ステージング環境で検証→本番反映のサイクルを標準化し、Gitやデプロイ自動化で変更履歴を一元管理します。
プラグイン更新・PHPバージョンアップ・テーマ改修はテスト→承認→本番リリースのSOP(標準手順)に落とし込みましょう。
- SOP整備:ユーザー追加/削除、サイト公開手順、障害時の連絡網を文書化
- 権限の棚卸し:四半期ごとに権限を見直し、不要アカウントは停止
- 2FA/SSO必須化:管理者・編集者には二要素+IP制限/SSOを適用
- 監査ログ保全:公開・設定変更・ユーザー操作のログを保存/可視化
- 緊急時のロールバック:DB/ファイルの世代バックアップと復旧訓練
外部ベンダーには一時的な編集者ロールを払い出し、契約終了と同時に失効させるのが基本。
権限の貸しっぱなしは情報漏えいの温床です。人に権限を渡すのではなく、役割にアクセスを割り当てるという考え方で統制しましょう。
複数人運用を外注する場合のポイント
運用ルール設計や権限トラブルの是正は、短時間で片付けたいテーマです。費用感と流れ、準備物を押さえておきましょう。
項目 | ポイント |
---|---|
費用の目安 |
・初期設計(権限ロール/承認フロー/2FA導入):30,000~80,000円 ・監査ログ・通知設計/SOP作成:50,000~150,000円 ・継続運用(棚卸し・定例メンテ):月15,000円~(規模により変動) |
依頼の流れ |
1. 現状把握(ユーザー一覧/権限/公開フロー/更新頻度) 2. 課題整理(誤更新・誰でも管理者・外注の出入り など) 3. 設計案の提示(ロール設計/承認フロー/通知/バックアップ) 4. 検証→本番反映(必要に応じてステージング) 5. ドキュメント化と引き継ぎ(SOP/緊急時手順/棚卸し表) |
準備しておくと便利 |
|
複数人運用で大切なのは、最小権限・可視化・一時的付与の三本柱です。
赤は外注で安全網を先に敷き、オレンジは承認/監査で事故率低減、緑はSOPと自動化で安定運用へ。
「誰が何をできるか」を明確にし、更新は計画的に。権限の貸しっぱなしは厳禁です。
まずはユーザー一覧と公開フローを棚卸しして、今日から権限の見直しをはじめましょう。迷ったら専門家にレビューを依頼すれば、短時間で安全度が一段上がります。