WordPress保守を外注するメリット・デメリットと業者の選び方
- 更新・バックアップ・不具合対応を自分(自社)だけで回しきれないと感じている
- 「保守運用は外注すべき?内製すべき?」の判断材料がほしい
- WordPress保守サービスの料金相場や選び方の基準を知りたい
WordPressレベル別 対応難易度
赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可
保守を外注するメリット・デメリットと選び方の全体像
外注のいちばんの利点は「スピードと安心」、一方で「社内にノウハウがたまりにくい」のが弱点です。
日次のバックアップ・アップデート・監視・障害対応など、運用の土台を安定化しつつ、社内の作業コストとリスクを下げるのが狙いになります。
自社のレベルと目的(保守の品質・予算・体制)に合わせて、外注と内製のバランスを決めるのがコツです。
保守の外注 ~WordPressレベルごとのおすすめ対応
迷わず外注で、まずは「止めない」仕組みを確保
更新・バックアップ・セキュリティ・障害一次対応など、保守の基本セットを自力で回すのは負担が大きくなります。ここは素直に外注して「サイトにマイナスを作らない」状態を先に構築するのが安全です。
やるべきことはシンプルで、保守メニューの範囲を明確にすることです。
コア/テーマ/プラグインの更新ポリシー、テスト環境の有無、バックアップの保有期間(例:30日)と復旧目標(RPO/RTO)、監視項目(死活監視・改ざん検知・WAF連携など)を確認しましょう。
メリットは、運用事故の確率をグッと下げられることと、障害時に判断・作業を丸投げできる安心感があります。
デメリットは、月額費用が継続で発生することと、改善提案の質が委託先に依存しがちな点です。
外注先には、更新頻度と検証手順(検証→本番反映の手順/ロールバック方法)、過去の障害対応実績、SLA(一次応答・復旧目標)、連絡チャネル(メール・チャット・電話)を聞いて比較しましょう。ここが曖昧だと「いざ」という時に動きが鈍くなります。
自力運用+不足分だけピンポイント外注
基本的な更新手順やバックアップ復元に触れたことがある方は、日常の軽作業は内製、高リスク作業や緊急対応だけ外注という組み合わせもアリです。
おすすめは、ステージング(検証)環境を用意して、更新→簡易テスト→本番反映までを社内標準化すること。
テーマの子テーマ運用やバージョン管理(Git)を取り入れると、トラブル時の切り戻しも楽になります。
ただし、脆弱性の多いプラグインやメジャーアップデート直後は、想定外の不具合が起きる可能性があります。相性検証・バックアップ・ロールバックまでワンセットで考えられない場合は、更新だけでも外注してリスクを下げるのが賢明です。
委託先の活用ポイントは、「定期ヘルスチェック」や「半期の棚卸(不要プラグインの削除・設定の見直し)」をお願いして、技術負債をため込まないことです。
必要に応じて、速度改善(キャッシュ・画像最適化)やセキュリティ強化をスポットで依頼すると成果が見えやすいです。
自力運用ベース+SLA保険で「事故時の時間」を買う
Dev/Stage/Prodの3環境や自動テスト、監視・通知(死活、レスポンスタイム、HTTPエラー率)まで整備できるなら内製が十分可能。ただし、24/365の待機や担当者不在時の穴がボトルネックになりがちです。
そこで有効なのが、SLAつきの「駆けつけ枠」だけ契約しておく方法。普段は自社で回しつつ、重大インシデントやゼロデイ対応のときだけ外部を呼べる体制にすると、経営リスク(機会損失)を下げられます。
加えて、四半期ごとのパフォーマンスレビュー(Core Web Vitals、クローラビリティ、エラーログ、Search Consoleのカバレッジ)を第三者に見てもらうと、“慣れ”による見落としが減ります。外の視点は思った以上に効きます。
保守を外注する場合のポイント
ここでは、よく聞かれる「費用の目安」「依頼の流れ」「準備しておくと便利なもの」を、実務寄りにまとめます。リストではなく、表と文章でざっくり掴みましょう。
項目 | ポイント |
---|---|
費用の目安 |
ライト保守(更新/バックアップ/死活監視): 5,000~15,000円/月 標準保守(検証環境あり/更新代行/簡易復旧): 15,000~40,000円/月 強化保守(監視/SLA/改ざん検知/高速化提案): 40,000円~/月 スポット障害対応: 8,000~20,000円/時(緊急は割増になることも) |
依頼の流れ |
1. 現状ヒアリング(サイト規模・プラグイン数・運用課題の洗い出し) 2. 方針と範囲の合意(更新ポリシー/検証可否/バックアップ保持/窓口) 3. 契約・初期整備(バックアップ導入/監視/ドキュメント化) 4. 月次運用(定期更新→簡易テスト→本番反映、レポート共有) 5. 半期レビュー(速度/セキュリティ/SEO健全性の棚卸と改善提案) |
準備しておくと便利 |
・サイト情報(URL/ログインURL/使用テーマと主なプラグイン) ・サーバー情報(ホスト名/契約プラン/バックアップ状況) ・運用ルール(更新頻度/編集権限/連絡チャネル/稼働時間帯) ・過去の障害・不具合メモ(発生日/影響/暫定対応/再発防止の有無) |
選び方のチェックポイントは、「実績の近さ」「更新と検証の設計」「障害時の初動速度」「人の顔が見えるか」の4点。料金だけで決めず、最低1回はオンライン面談をして、質問への反応と提案の具体性を見ましょう。
赤は外注で「止めない仕組み」を先に確保、オレンジは内製+不足分だけ外注、緑は自力運用+SLA保険が現実的です。
保守の価値は、“平時の地味な作業”で事故を未然に防ぐところにあります。料金だけで判断せず、更新設計・検証手順・復旧の速さで選ぶと失敗しません。
迷ったら、まずは現状棚卸しと方針整理から。そこが決まれば、外注でも内製でもブレずに進められます。