定期メンテナンスを外注するときの料金目安と注意点

この記事はこんな人向けです
  • 月次のWordPress保守・定期メンテナンスを外注したいが、料金相場や内訳が分からない
  • 更新作業(本体・テーマ・プラグイン)やバックアップ、セキュリティ対策をプロに任せたい
  • 保守会社を比較するときの注意点・契約条件を把握して失敗を避けたい

WordPressレベル別 対応難易度

Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7
レベル判断は、右のレベル表(スマホは画面下)を参考にしてください。

赤:外注依存度「高」 オレンジ:外注依存度「中」 緑:外注依存度「低」

※「外注依存度」とは、作業や確認を自分でどこまで対応するか、もしくは外注に任せるかの度合いを示しています。

定期メンテナンスの全体像と対応方針

WordPressの定期メンテは、更新・バックアップ・監視・復旧の4本柱で成り立ちます。
更新は機能改善のチャンスであり、セキュリティパッチでもあります。復旧は「起きてから」では遅く、事前の運用設計と情報共有がポイントです。
自社レベルに合わせて「任せる範囲」を決め、SLA(対応時間・範囲)と成果物を明文化しておきましょう。

定期メンテナンス ~WordPressレベルごとのおすすめ対応

「守りの仕組み」を丸ごと外注。復旧の早さが命

赤レベルの方は、更新やバックアップのやり方に自信がないと思います。このレベルでは、更新・バックアップ・監視・一次復旧をパッケージで外注するのが安心安全です。
テーマやプラグインの更新はクリック1つに見えて、互換性やPHPバージョン、キャッシュ、JS依存など破綻ポイントもあり、予期せぬ失敗時にはサイトが真っ白になることもあります。

外注時は、日次/週次バックアップの保持数(最低でも直近7世代+月次アーカイブ)、復旧SLA(営業日/深夜/休日の扱い)、脆弱性情報のキャッチアップ方法(WPScan等)を確認すると安心度が増します。
いざという時に「誰が・いつ・どこまで」対応するかを、契約書や運用ドキュメントに落としておきましょう。

ついやりがちで注意が必要なのは、本番だけで直接更新バックアップ未確認のまま一気にアップデート管理者権限アカウントを複数人で共有など。
最低限、テスト環境での検証→本番の流れを、業者側の手順に組み込んでもらうのがコスパ良しです。

更新は自社+レビューは外注。役割分担でコスト最適化

管理画面の操作や子テーマ運用に慣れたオレンジレベルの方は、基本更新は自社で回し、月1の棚卸し・技術レビュー・緊急時の駆け込みを外注するハイブリッドがおすすめです。

具体的には、定例の更新候補リスト(本体/テーマ/プラグイン/翻訳)を作り、互換性の懸念(メジャー→マイナー、依存関係、PHPバージョン)をメモします。
ステージングで検証→差分レポート(表示/機能/ログ/速度)を残し、本番反映は時間帯を指定(トラフィックの少ない時間)で行います。
万一のロールバック手順(復元とキャッシュリビルド)も事前に確認します。

契約面では、チケット制(月◯時間/◯ポイント)か、定例+スポット課金かで費用構造が変わります。
不要なトラブル防止のため、「問い合わせ→一次切り分け→エスカレーション」まで含むのか、保守範囲の境界(コンテンツ修正は対象外 等)を明確にしておきましょう。
軽微なコード修正(テンプレ1~2箇所、CSS/JS調整)まで含むと内製の負担が軽くなります。

運用設計は自社、監視とBCPは共同で。SLAを数値化

CI/CDや監視を自走できる緑レベルの方の外注価値は、監視と復旧の冗長化・休日夜間のSLA・セキュリティ情報の一次対応にあります。

要件は、RTO/RPO(復旧目標時間/復元可能時点)、検知→通報→一次対応までのプレイブック、権限分離(最小権限の技術アカウント)を数値で合意。
週次の依存アップデートはグルーピングしてバッチ適用、メジャー系はカナリア/段階反映を採用。監視はWAF/ログ/稼働/エラーレート/CLS・INPなどUX指標まで範囲を決めます。

成果物は、変更履歴・障害サマリ・次月の更新計画。KPIは「障害一次復旧時間」「検知から連絡までの平均」「月次テスト項目の消化率」。
年1のBCP訓練(模擬インシデント→復旧)を合同で走らせると、いざという時の初動速度が段違いです。

定期メンテナンスを外注する場合のポイント

ひとことで言うと、「SLAと範囲の明文化」がすべてです。何をどこまで・どれくらいの速さで対応するかを、先にすり合わせましょう。

項目ポイント
費用の目安 ・ライト:月5,000~15,000円(更新チェック/月次バックアップ/簡易監視)
・スタンダード:月15,000~40,000円(検証環境での更新代行/日次バックアップ/脆弱性対応/障害一次対応)
・プロ:月40,000~100,000円(24/365監視/性能・セキュリティ強化/軽微改修含む)
・スポット復旧や深夜・即日対応は割増。工数課金(時給/ポイント)併用のケースもあり
依頼の流れ 1. 現状ヒアリング(サイト規模・プラグイン点数・更新頻度・運用体制)
2. スコープ定義(対象・除外・SLA・レポート粒度・連絡手段)
3. 初月オンボーディング(バックアップ設計/監視設定/検証環境の整備)
4. 月次運用(更新→検証→本番/差分レポート)+インシデント対応(復旧→原因分析→再発防止)
準備しておくと便利 ・本体/テーマ/プラグインのバージョン一覧と使用中機能のメモ
・サーバー情報(PHP/DB/HTTP/キャッシュ環境)、CDNやWAFの有無
・バックアップ先・保持数・復旧手順の希望、更新の希望時間帯
・管理者/編集者など最小権限のアカウント、ステージングURL
・優先順位(売上導線/会員機能など)と、OK/NGの受入基準
まとめ

定期メンテは「保険」の意味合いもありますが、サイトの信頼性を伸ばす投資でもあります。更新・バックアップ・監視・復旧の設計が回りだすと、障害時のダメージが小さくなり、改善の速度も上がります。

は丸ごと外注、オレンジは役割分担、はSLAとBCPを数値化が基本戦略です。

比較の決め手は、価格よりも範囲とSLAの明確さ、そしてレポート品質などで判断しましょう。迷ったら、まずは3か月程度のトライアルで小さく始めるのも堅実です。

自社の手間を減らしつつ、安全にスピードを上げたいなら、プロに相談して運用設計から固めましょう。

この記事を書いた人
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桐山智行(株式会社H.T.P. 代表)

2007年よりWeb制作に従事し、現在は企業サイトやWordPressの保守・改善支援も行っています。これまで100社以上・500サイトを超える案件を担当し、トラブル対応から集客サポートまで幅広く経験しています。

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