定期メンテナンスを外注するときの料金目安と注意点
- 月次のWordPress保守・定期メンテナンスを外注したいが、料金相場や内訳が分からない
- 更新作業(本体・テーマ・プラグイン)やバックアップ、セキュリティ対策をプロに任せたい
- 保守会社を比較するときの注意点・契約条件を把握して失敗を避けたい
WordPressレベル別 対応難易度
赤:外注依存度「高」 オレンジ:外注依存度「中」 緑:外注依存度「低」
定期メンテナンスの全体像と対応方針
WordPressの定期メンテは、更新・バックアップ・監視・復旧の4本柱で成り立ちます。
更新は機能改善のチャンスであり、セキュリティパッチでもあります。復旧は「起きてから」では遅く、事前の運用設計と情報共有がポイントです。
自社レベルに合わせて「任せる範囲」を決め、SLA(対応時間・範囲)と成果物を明文化しておきましょう。
定期メンテナンス ~WordPressレベルごとのおすすめ対応
「守りの仕組み」を丸ごと外注。復旧の早さが命
赤レベルの方は、更新やバックアップのやり方に自信がないと思います。このレベルでは、更新・バックアップ・監視・一次復旧をパッケージで外注するのが安心安全です。
テーマやプラグインの更新はクリック1つに見えて、互換性やPHPバージョン、キャッシュ、JS依存など破綻ポイントもあり、予期せぬ失敗時にはサイトが真っ白になることもあります。
外注時は、日次/週次バックアップの保持数(最低でも直近7世代+月次アーカイブ)、復旧SLA(営業日/深夜/休日の扱い)、脆弱性情報のキャッチアップ方法(WPScan等)を確認すると安心度が増します。
いざという時に「誰が・いつ・どこまで」対応するかを、契約書や運用ドキュメントに落としておきましょう。
ついやりがちで注意が必要なのは、本番だけで直接更新、バックアップ未確認のまま一気にアップデート、管理者権限アカウントを複数人で共有など。
最低限、テスト環境での検証→本番の流れを、業者側の手順に組み込んでもらうのがコスパ良しです。
更新は自社+レビューは外注。役割分担でコスト最適化
管理画面の操作や子テーマ運用に慣れたオレンジレベルの方は、基本更新は自社で回し、月1の棚卸し・技術レビュー・緊急時の駆け込みを外注するハイブリッドがおすすめです。
具体的には、定例の更新候補リスト(本体/テーマ/プラグイン/翻訳)を作り、互換性の懸念(メジャー→マイナー、依存関係、PHPバージョン)をメモします。
ステージングで検証→差分レポート(表示/機能/ログ/速度)を残し、本番反映は時間帯を指定(トラフィックの少ない時間)で行います。
万一のロールバック手順(復元とキャッシュリビルド)も事前に確認します。
契約面では、チケット制(月◯時間/◯ポイント)か、定例+スポット課金かで費用構造が変わります。
不要なトラブル防止のため、「問い合わせ→一次切り分け→エスカレーション」まで含むのか、保守範囲の境界(コンテンツ修正は対象外 等)を明確にしておきましょう。
軽微なコード修正(テンプレ1~2箇所、CSS/JS調整)まで含むと内製の負担が軽くなります。
運用設計は自社、監視とBCPは共同で。SLAを数値化
CI/CDや監視を自走できる緑レベルの方の外注価値は、監視と復旧の冗長化・休日夜間のSLA・セキュリティ情報の一次対応にあります。
要件は、RTO/RPO(復旧目標時間/復元可能時点)、検知→通報→一次対応までのプレイブック、権限分離(最小権限の技術アカウント)を数値で合意。
週次の依存アップデートはグルーピングしてバッチ適用、メジャー系はカナリア/段階反映を採用。監視はWAF/ログ/稼働/エラーレート/CLS・INPなどUX指標まで範囲を決めます。
成果物は、変更履歴・障害サマリ・次月の更新計画。KPIは「障害一次復旧時間」「検知から連絡までの平均」「月次テスト項目の消化率」。
年1のBCP訓練(模擬インシデント→復旧)を合同で走らせると、いざという時の初動速度が段違いです。
定期メンテナンスを外注する場合のポイント
ひとことで言うと、「SLAと範囲の明文化」がすべてです。何をどこまで・どれくらいの速さで対応するかを、先にすり合わせましょう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 費用の目安 |
・ライト:月5,000~15,000円(更新チェック/月次バックアップ/簡易監視) ・スタンダード:月15,000~40,000円(検証環境での更新代行/日次バックアップ/脆弱性対応/障害一次対応) ・プロ:月40,000~100,000円(24/365監視/性能・セキュリティ強化/軽微改修含む) ・スポット復旧や深夜・即日対応は割増。工数課金(時給/ポイント)併用のケースもあり |
| 依頼の流れ |
1. 現状ヒアリング(サイト規模・プラグイン点数・更新頻度・運用体制) 2. スコープ定義(対象・除外・SLA・レポート粒度・連絡手段) 3. 初月オンボーディング(バックアップ設計/監視設定/検証環境の整備) 4. 月次運用(更新→検証→本番/差分レポート)+インシデント対応(復旧→原因分析→再発防止) |
| 準備しておくと便利 |
・本体/テーマ/プラグインのバージョン一覧と使用中機能のメモ ・サーバー情報(PHP/DB/HTTP/キャッシュ環境)、CDNやWAFの有無 ・バックアップ先・保持数・復旧手順の希望、更新の希望時間帯 ・管理者/編集者など最小権限のアカウント、ステージングURL ・優先順位(売上導線/会員機能など)と、OK/NGの受入基準 |
定期メンテは「保険」の意味合いもありますが、サイトの信頼性を伸ばす投資でもあります。更新・バックアップ・監視・復旧の設計が回りだすと、障害時のダメージが小さくなり、改善の速度も上がります。
赤は丸ごと外注、オレンジは役割分担、緑はSLAとBCPを数値化が基本戦略です。
比較の決め手は、価格よりも範囲とSLAの明確さ、そしてレポート品質などで判断しましょう。迷ったら、まずは3か月程度のトライアルで小さく始めるのも堅実です。
自社の手間を減らしつつ、安全にスピードを上げたいなら、プロに相談して運用設計から固めましょう。

