士業サイトに最適なWordPress保守プランの考え方

この記事はこんな人向けです
  • 士業(税理士・弁護士・社労士・行政書士など)のWeb集客を安定化させたい
  • WordPress保守の「必要十分」な範囲と費用の妥当性を知りたい
  • 自分でやる部分と外注に任せる部分の線引きを明確にしたい

WordPressレベル別 対応難易度

Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7
レベル判断は、右のレベル表(スマホは画面下)を参考にしてください。

赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可

士業サイト向け保守の全体像と対応方針

士業サイトは「止めない・漏らさない・遅らせない」が最優先です。
更新・バックアップ・セキュリティ監視は最低限、トラブル時の復旧SLAと連絡体制まで設計すると安心です。
レベルに応じて“自力運用”と“外注”を組み合わせ、過不足なく回しましょう。

士業サイトの保守 ~WordPressレベルごとのおすすめ対応

まずは「止めない仕組み」を外部に任せるのが最短

問い合わせの取りこぼしや法改正の告知遅延は、士業にとって直接的な機会損失につながります。
テーマやプラグインの更新・バックアップ設定・セキュリティ対策(ログ監視/脆弱性情報のフォロー)など、“毎月必ずやる定常作業”は外注してしまうのが安心安全です。

赤レベルの方が自力対応にこだわると、アップデートの失敗やPHP非互換に巻き込まれがちです。
結果的に復旧コストが上がるので、保守ベンダーに「月次更新+自動バックアップ+監視」まで丸投げすることをおすすめします。

あなたがやるのは、月1回のレポート確認と、掲載内容(実績・セミナー情報・料金改定など)の指示です。
保守と軽微改修を分けずに、運用改善を含む「定額プラン」を選ぶと社内工数がゼロに近づきます。

定常は自力、リスク領域だけ外注のハイブリッド運用

WordPressの基本操作に慣れているオレンジレベルの方なら、サイト内のテキスト差し替え・ブログ投稿・画像最適化は自社で回せます。
一方で、主要更新(Core/テーマ/重要プラグイン)やPHPバージョン更新は外注の検証環境で実施してもらうのが合理的です。

おすすめの線引きは、「本番で失敗すると即ダウンする作業=外注」「やり直しが利く作業=自力」といったところです。
バックアップ・復旧/ロールバック・改修のコードレビュー・脆弱性対応の優先度判断は、経験値の差が出やすいのでプロに任せましょう。

また士業では、個人情報・問い合わせフォーム・メール配信の可用性が重要です。
フォームの到達検証(SMTP/DMARC/SPF)や、夜間/土日対応のインシデント窓口だけ外注に含め、平日日中の更新は自社で行う運用も現実的です。

月次では、アクセスレポート+CV(相談/見積)レポートを受け取り、次月の小改善計画(FAQ追加・実績ページ整備・内部リンク補強など)の提案をもらう形にしましょう。
「保守=守り」だけでなく、士業のSEO/採用/セミナーLPなど“攻め”の運用がワンセットだと成果が出やすいです。

SLA設計と運用標準化で“属人化ゼロ”へ

Git・ステージング・自動テストに馴染みがあるなら、更新~デプロイ~監視まで自力で構築可能。
ただし士業サイトの特性上、営業時間外の復旧SLA(例:重大障害は2時間以内に一次対応)と、担当者不在時のバックアップ体制は必ず明文化しましょう。

標準化のコアは以下の運用台帳です:
・更新カレンダー(Core/テーマ/プラグインの更新頻度と検証担当)
・バックアップ設計(世代数・保管先・リストア手順)
・監視項目(死活/レスポンス/フォーム到達/改ざん検知/SSL期限)
・リリース手順(レビュー/承認/ロールバック/変更履歴)

上級者でも、法改正や料金改定の「表現確認」など業務寄りのレビューは外部目線が有効。
さらに年1回のサイト健康診断(速度/アクセシビリティ/構造化データ/フォーム離脱率)を第三者に依頼し、運用の抜け漏れを可視化すると盤石です。

WordPress保守を外注する場合のポイント

「止めない運用」と「軽微な改善」をひとつの窓口で回せる体制が理想。
見積では“何を毎月やるか”が明文化されているかをチェックしましょう。

項目ポイント
費用の目安 ・ミニマム(更新/自動バックアップ/死活監視)… 5,000~12,000円/月
・標準(監視+復旧SLA+軽微改修/月3~5タスク)… 15,000~35,000円/月
・強化(夜間/休日一次対応+改善提案+月次レポート)… 30,000~80,000円/月
・スポット障害対応/緊急復旧は 1.5~2.0倍の割増が一般的
依頼の流れ 1. 現状ヒアリング(運用課題/更新頻度/体制/フォーム導線)
2. 保守範囲の合意(更新/監視/復旧SLA/軽微改修/レポート)
3. 初期整備(バックアップ/監視設定/脆弱性棚卸/環境共有)
4. 月次運用開始(定常作業+小改善/レポート/翌月計画)
準備しておくと便利 ・サーバー/WordPressのログイン情報(必要に応じて権限分離)
・使用テーマ/プラグイン一覧とカスタマイズ有無のメモ
・問い合わせ導線(フォーム/チャット/電話)の現状と課題
・「更新してよい/要承認」の境界と、緊急連絡先/対応時間帯
まとめ

士業サイトの保守は、可用性と信頼性の維持が命。
は定常作業を丸ごと外注、オレンジは失敗できない領域のみ外注、はSLAと標準化で属人化ゼロが基本の考えです。

「何を毎月やるか」「どのレベルで復旧するか」を言語化できれば、無駄な費用は自然と削れます。
迷ったら、まずは範囲と体制の棚卸しから。最小の仕組みで最大の安心を得ましょう。

この記事を書いた人
著者アイコン

桐山智行(株式会社H.T.P. 代表)

2007年よりWeb制作に従事し、現在は企業サイトやWordPressの保守・改善支援も行っています。これまで100社以上・500サイトを超える案件を担当し、トラブル対応から集客サポートまで幅広く経験しています。

その他のWordPress関連記事はこちら

  • Lv1 初心者 初心者 … ログインなど基本も不安
  • Lv2 基本操作 基本操作 … 投稿OK/更新は不安
  • Lv3 投稿メイン 投稿メイン … 記事更新・差替えはできる
  • Lv4 更新ユーザー 更新ユーザー … テーマ/プラグイン更新経験あり
  • Lv5 データ操作 データ操作 … DBやバックアップを理解
  • Lv6 カスタマイザー カスタマイザー … 子テーマ・CSS修正が可能
  • Lv7 マスター マスター … コード/サーバーまで自走可能