WordPress機能追加だけ外注する場合の流れと費用目安

この記事はこんな人向けです

  • 会員機能・予約・問い合わせ強化・検索機能など、機能だけピンポイントで追加したい
  • プラグイン導入で済むのか、テーマ改修やブロック開発が必要かの判断がつかない
  • 相見積の比較軸や、保守・セキュリティ面を含めた発注の勘所を知りたい

WordPressレベル別 読みどころガイド

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赤:外注依存度「高」 オレンジ:外注依存度「中」 緑:外注依存度「低」

この記事はあなたのWordPressレベルによって見解が異なります。
右のレベル表(スマホは画面下)を参考に、記事内の「赤・オレンジ・緑」のパートを読み分けてください。
※「外注依存度」とは、作業や確認を自分でどこまで対応するか、もしくは外注に任せるかの度合いを示しています。

機能追加外注に関する基本

WordPressの機能追加だけを外注することは、サイト全体リニューアルをせずに課題へ最短で手を打つアプローチです。まずは要件の粒度を決めて、①プラグイン構成で足りるのか/②テーマ(子テーマ)改修が必要か/③独自ブロックやAPI連携などの開発が要るか、の順に考えていきます。費用は作り込み度とリスク(互換性・速度・保守)で増減します。

機能追加外注 ~WordPressレベルごとの確認ポイント

「やりたいこと」を1文で。安全第一で丸投げする

管理画面の操作や技術判断が苦手な赤レベルの方は、目的と期待成果を短くまとめて業者に提案をもらうのが堅実です。
たとえば「予約をオンラインで完結したい」「資料DLの申込率を上げたい」「特定条件の検索を追加したい」といった表現でも大丈夫です。
相性の悪いプラグインや表示速度の悪化、キャッシュ・セキュリティ設定の穴などは、プロ側で洗い出してもらいましょう。

確認ポイント

  • 「誰が・どの画面で・何をできるようにしたいか」を1~2文で共有
  • 希望の参考例(他社サイトの動き・スクショ)を2~3点に絞る
  • 既存の不具合・速度の悩み・サーバー環境の情報を簡潔に伝える
  • 「プラグインだけで完結」と「テーマ改修あり」の2案見積を依頼
  • 保守の希望(更新代行・緊急対応・月次点検)を事前に伝える

費用の目安

  • プラグイン導入+初期設定+最低限の日本語化・権限調整:2~8万円
  • 子テーマでのテンプレ軽改修(表示調整・簡単なフック追加):5~15万円
  • 問い合わせ強化(バリデーション・スパム対策・計測連携):5~12万円
  • スケジュール短縮や夜間作業は割増の可能性

準備

  • 「このボタンを押したら◯◯が起きる」などの動作イメージを箇条書きで
  • 管理画面の一時アカウント(権限・有効期限つき)と、サーバー情報
  • 禁止事項(会員データは外部に保存しない、UIは既存トーン維持 など)

内訳を見極める。互換性・速度・計測まで仕様化

基本的なプラグイン運用や子テーマ編集の経験があるなら、要件を3層に分けるとブレが減ります。
機能要件(何ができるか)、非機能要件(速度・セキュリティ・アクセシビリティ)、運用要件(更新・ロールバック・ログ・計測)の3層です。
「できたけど遅い」「更新したら壊れる」を避けるため、互換性の検証範囲や、計測イベント名・CV条件まで指定しておくと、見積の妥当性が見えます。

確認ポイント

  • 現状のバージョン(WP/PHP/テーマ)と主要プラグイン一覧・互換性メモ
  • 権限設計(管理者・編集者・会員等)と入力項目の定義
  • 非機能:LCP/INP・CLSの目標、画像形式、キャッシュ戦略、DB負荷の上限
  • 計測:GA4のイベント命名、CV条件、タグの同意管理(CMP)
  • 検証:対応ブラウザ・端末、テスト項目、ステージングでの確認方法

費用の目安

  • 検索拡張・並び替え・絞り込みUIの追加:8~25万円
  • 予約/会員系プラグインの導入+テーマ側テンプレ調整:15~40万円
  • 既存フォームの高度化(多段ステップ・確認画面・レポート出力):10~30万円
  • 高速化・最適化(画像最適化、Critical CSS、フォント最適化など):5~20万円

準備

  • ワイヤー(Figma/画像)+主要フロー図(登録→確認→完了の流れ)
  • データの入出力要件(CSVエクスポート、通知メールの宛先・形式)
  • 障害時の運用(一時停止の手順、ロールバック、連絡経路)

独自ブロック・API連携で拡張。差分管理で長期運用

運用も含めて自走できるなら、ブロック開発やAPI連携の単位で発注し、Gitで差分管理までセットで依頼。
REST/GraphQL連携、外部SaaSとの同期、カスタムポストタイプ+ACFでの構造化、ACF Blocks/InnerBlocksの設計など、将来の運用者が迷わない編集体験を重視します。

確認ポイント

  • 仕様書:エンドポイント一覧、認証方式、レート制限、エラーハンドリング
  • ブロック要件:属性、サーバーサイドレンダリング有無、再利用/パターン化方針
  • 非機能:キャッシュ階層(オブジェクト/ページ/エッジ)、監視、ログ設計
  • セキュリティ:ノンス、権限チェック、入力値のサニタイズ/エスケープ
  • 納品:リポジトリ、ブランチ戦略、CI/CD、受け入れ基準、ドキュメント

費用の目安

  • 独自ブロック1~3種(デザイン支給/要件固め前提):20~60万円
  • 外部API連携(認証・同期・UI実装を含む中規模):30~120万円
  • 管理画面拡張(レポート・承認フロー・役割別UI):25~80万円
  • 継続保守(脆弱性監視・定期更新・運用レビュー):月3~15万円

準備

  • API仕様・スキーマ・テストデータ、アクセストークンの発行手順
  • 編集者ガイドライン(見出し階層・画像比率・文体・レビュー手順)
  • 運用KPI(CVR/速度/障害件数)とレビュー頻度(例:月次・四半期)

制作代行の依頼フロー(一般的な流れ)

  1. 課題整理:目的・KPI・優先度(例:CV改善/運用効率/高速化)を1~2段落で共有
  2. 前提情報:環境(WP/PHP/テーマ/プラグイン)・素材・参考例・禁止事項・体制
  3. 見積・提案受領:機能/非機能/運用に分けた内訳、除外範囲、検証範囲、納期案
  4. ステージング実装→検証→本番反映:差分記録、ロールバック、計測イベント確認をセット
  5. 納品・引継ぎ:成果物(コード/設定)・ドキュメント・SLA・保守開始のタイミング

※ 小規模でも「本番直コミット」は避け、ステージング→受け入れ→反映の順序を徹底するとトラブル率が下がります。

機能追加外注に関するよくある質問

プラグインで済むのか、開発が必要かの見極めは?

まずは要件を箇条書きにして、既存プラグインの機能と照合します。権限・翻訳・速度・拡張性・セキュリティ・更新頻度などの観点でマイナスが大きければ、子テーマ改修や独自ブロック開発を検討します。

テーマのアップデートで改修が消えないか心配です

基本は子テーマでの改修とし、独自コードはプラグイン化してテーマ更新と分離します。変更履歴・リリースノート・ロールバック手順を残すと安全です。

表示速度が落ちないようにするコツは?

画像最適化、フォント戦略、不要アセットの読み込み制御、DB問い合わせの最適化、キャッシュ階層(ブラウザ/ページ/オブジェクト/エッジ)を仕様に含めます。計測はLCP/INP/CLSを基準にします。

保守契約は必須ですか?

必須ではありませんが、機能追加後は更新や脆弱性対応が発生します。月次の点検・アップデート代行・障害一次対応をミニマム保守としてセットにすると安心です。

まとめ

機能追加だけの外注は、課題への最短距離を取る賢い選択です。プラグインで足りるのか、テーマ改修やブロック開発が必要かを考え、速度・計測・保守まで含めて依頼すると後悔しにくいです。

は目的を一文で伝えて丸投げ、オレンジは機能/非機能/運用の3層で仕様化、はブロック/API単位+差分管理で長期運用という見方が基本です。

見積の幅は作り込みとリスクで変動します。迷うときは最小構成で公開し、計測データを見ながら拡張しましょう。
極端に安い見積は、互換性・速度・セキュリティの検証不足で後から高くつくケースが多い点にも注意です。

この記事を書いた人
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桐山智行(株式会社H.T.P. 代表)

2007年よりWeb制作に従事し、現在は企業サイトやWordPressの保守・改善支援も行っています。これまで100社以上・500サイトを超える案件を担当し、トラブル対応から集客サポートまで幅広く経験しています。

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