自動でアイキャッチを設定するスニペット
- 投稿のたびにアイキャッチを用意するのが手間で、自動設定の仕組みを作りたい
- アイキャッチ未設定の記事が多く、デザイン崩れやCTR低下が気になっている
- functions.phpのスニペット運用やフック設計で、安全に自動化したい
WordPressレベル別 対応難易度
赤:外注推奨 オレンジ:条件付き自力可 緑:自力対応可
自動でアイキャッチを設定する全体像と対応方針
「自動アイキャッチ」は、どの画像を・いつ・どんな条件で付与するかの設計勝負です。
投稿本文からの自動抽出、カテゴリーごとの既定画像、OGP/動画サムネの活用、比率や画質の統一、除外条件などを決め、フック(例:save_post)で安全に走らせるのが基本方針です。
まずは「優先順位と例外」を紙でもよいので定義してから、スニペットを実装・検証しましょう。
自動アイキャッチ ~WordPressレベルごとのおすすめ対応
「設計ミス=全記事に波及する」ので注意
赤レベルの方にとって、アイキャッチ自動化は想像以上に落とし穴が多いです。例えば、本文の1枚目画像を無条件で採用すると、バナーや装飾GIFがサムネになってデザインが崩れたり、縦長画像で一覧のレイアウトが壊れたり…という事故がよく起きます。
さらに、一括処理で既存記事まで書き換えると、目視確認が追いつかず、全体のCTRや回遊に悪影響が出ることもあります。
要件整理とテスト設計がうまくいかないと事故率が高い改修です。まずは外注で、次のような最低限の設計をまとめてもらうのが安全です。
・優先順位:本文1枚目 > カテゴリー既定 > サイト既定(デフォルト)
・比率と最小サイズ:1200×630相当(OGP/カード想定)
・除外条件:SVG/アニメGIF/透過PNG/横幅不足 など
・更新タイミング:新規投稿時のみ/更新時は未設定時のみ など
また、「画像最適化(WebP/AVIF)」「メディア権限(投稿者が勝手に大容量を上げられない)」など、運用ルールを同時に整えておくと、のちのトラブルを減らせます。
無理に自力で書かないのが、結果的にいちばん安く・早く・安全に実装できます。
要件を決めてから“最小構成”で導入
オレンジレベルの方は、次の順で“最小構成”から始めるのがコツです。
1) フックを決める:基本は save_post でOKです。自動下書きやリビジョンに反応させない条件も併記すると良いです。公開ステータス遷移に限定したいなら transition_post_status を検討します。
2) 優先順位を実装:本文からの画像抽出 → カテゴリー別の既定画像 → 全体のデフォルトの順で判定します。本文抽出は「ギャラリーや外部埋め込みを除外」「横幅/比率チェック」「alt/ファイルタイプの審査」を入れると事故が減ります。
3) 更新ポリシー:「すでに手動設定されていたら触らない」「上書きはしない」を原則にしましょう。過去記事への一括適用は、通常の保存処理とは分けて、CLIや管理画面ボタンから実行できる別タスクとして扱うのがおすすめです。
4) 画像生成系に頼りすぎない:OGPやYouTubeサムネ取得、AI生成は便利ですが、著作権・API制限・画質ムラが混在します。まずは自サイト内のメディアだけで完結させる方が安心です。
導入後は、カテゴリ横断で20~50件をサンプリングして目視確認をします。Regenerate Thumbnails系の処理は不要なら極力走らせないこと。PageSpeedやINP/CLSに影響が出ないかもチェックして、一括処理と通常運用を分けて運用しましょう。
例外・拡張・パフォーマンスまで設計
緑レベルの方は、次の観点で堅牢化を。ここでも改修コードの掲載は行いませんが、要点を深掘りします。
■ 抽象化と拡張ポイント
・戦略クラス:FirstContentImageStrategy / CategoryFallbackStrategy / GlobalFallbackStrategy のように責務分離。
・フィルターフック:pre_auto_featured_image 的な独自フィルターで、テーマ/プラグイン側の差し替え余地を用意。
・媒体別例外:AMPや記事タイプ(カスタム投稿)、タクソノミーでの動作可否を切替。
■ 品質管理(画質・比率・メタ)
・比率は 1.91:1(1200×630) を軸に。縦長検出時は採用不可orトリミング前提。
・メタ補完:_thumbnail_id だけでなく、og:image相当のサイズ存在を保証。
・代替テキスト:本文抽出時に alt が無効なら、記事タイトル+サイト名などで暫定付与(無闇な自動化は避けつつルール化)。
■ パフォーマンス/安全性
・本文パースはDOMDocument等で最小限に。巨大記事でのオーバーヘッドを避ける。
・一括移行はWP-CLIやバッチで分割。トランザクション風にログ/ロールバックを設計。
・権限はmanage_optionsやカスタムケイパビリティで限定。Nonce/CSRFやRESTエンドポイントの露出も最小に。
■ 編集体験(Gutenberg/Classic)
・Gutenbergでは「保存時に自動反映+パネルでプレビュー」が理想。
・Classicはメタボックスで「次回保存時に自動設定」トグルを用意。
・作者や運用担当が手動で上書きできる道を常に残しておく。
総じて、“未設定をゼロにする”より“適切な画像が付く確率を最大化する”発想が成功率を上げます。要件→実装→目視→微調整のPDCAを回し、事故らない仕組みに磨きましょう。
自動アイキャッチを外注する場合のポイント
「設計や検証に時間を割けない」「既存記事が多くて怖い」という場合は、専門業者に任せるのが確実です。費用感・依頼の流れ・準備物をサクッと確認しましょう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 費用の目安 |
・新規投稿のみ自動設定(最小実装)で 20,000円~ ・既存記事の一括適用+サンプリング検証で 40,000~120,000円 目安 ・動画/OGP/AI生成の拡張やWP-CLI対応は 要見積(規模依存) |
| 依頼の流れ |
1. 要件整理(優先順位・除外条件・更新ポリシー・対象投稿タイプ) 2. 見積もりと実装方針の合意(テスト件数・ロールバック方針) 3. 実装→ステージング検証→本番反映(必要なら一括適用は段階実施) |
| 準備しておくと便利 |
・カテゴリー別の既定画像(1200×630推奨)と全体デフォルト画像 ・「本文から拾いたくない」画像の例(バナー/装飾/縦長) ・対象となる投稿タイプ/除外カテゴリの一覧、サンプル記事ID ・権限/テスト環境/バックアップの運用ルール |
アイキャッチ自動化は、スニペットの一発芸ではなく、要件定義と例外設計が肝です。本文抽出・カテゴリ既定・全体既定の優先順位、比率/サイズ、更新ポリシー、そして一括処理の扱いを最初に決めてから実装すると事故が激減します。
赤は外注推奨、オレンジは最小構成で自力可、緑は拡張と堅牢化まで、これが基本方針です。
運用で困るのは「上書き事故」「縦長/画質ムラ」「既存記事の崩れ」など。小さく導入→目視→段階適用の順で、安全に前進しましょう。

